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RST 市況レポート


2008年 秋の動き
2008年09月19日(金曜日)
不動産コンサルタント  天野  博

【2008年秋のシーズン、買い手市場続く】


《春から夏にかけて、在庫増加し需給関係変化》


本年春から夏にかけて、景気後退が鮮明になるとともに、住宅市況は悪化の一途をたどってきました。在庫増加と買い手の減少、需給関係は売り手にとって悪い方向への変化が続いています。マンションをはじめ住宅市場ではすっかり「買い手市場」となっているのです。たとえば、都心4区(上、中、下、東山)の中古マンションの在庫(販売中物件の総数)は300戸台半ばです。5年ほど前の不況期に、おなじ都心4区の在庫は200戸台なかばまで増加しましたが、当時に比べて5割ほど多い状態が本年はじめから続いているのです。新築マンション、戸建て市場でも、価格調整が本格化するでしょう。  ※参考資料マンション在庫一覧表08(pdfファイル)

折から、アメリカ発の「金融恐慌」回避で世界中が大わらわになり、まったく見通しがたたない状況となりました。少なくとも来年前半まで、買い手市場が続くものと予想されます。
一方、先行して値を下げてきた物件には、実需のユーザーの動きが顕在化し、一部に市況活性化の可能性も垣間見えます。特に都心の不動産が安くなり、周辺からの買い換え層や退職者などの都心志向に弾みをつける情勢です。


《公的地価に唖然、くりかえされるミスリード》


国土交通省が9月18日、発表した基準地価(2008年7月1日現在の地価)は、3月公表された地価公示に続いて「三大都市圏平均では上昇幅が縮小した」と。なお地価が上昇傾向にあるように言っています。おかしなことです。お役所のすることはまったく理解できません。私が市況レポートで詳しく解説してきたように地価は2006年秋から調整局面に入り、昨年春以降、値下げ局面に転じています。とくにこの半年間は、地価下落は誰の目にでも明らかです。「公的地価」はもともとそういういい加減なものなのでしょうか。消費者をもし、ミスリードするとしたら、その責任は少なくはないでしょう。農林水産省次官は「汚染米」の情報公開に遅れをとって更迭されましたが。
 地価公示では遅行指数といって、まだしも言い訳できたでしょうが、基準地価格はこの半年の地価の変動を示す責任があるでしょう。なにはともあれ、増税のためかどうか、公的地価を下げたくない理由があると邪推したくなりますね。


《新景観政策、調整が迫られる》

この基準地価によれば、京都市中心5区(北、左京、上、中、下)の商業地は1.8%、住宅地が1.3%の上昇としています。「昨秋からの新景観政策で建築物の高さの上限が引き下げられ、建築可能な延べ床面積が減少したことなども影響した。」(日経新聞、08年9月19日)と解説されています。それで、上昇とはどういうことでしょうか。実際には大きく下がっているのです。高さが31m(11階建て)から15m(5階建て)に規制されたら、地価が半分になってもおかしくない話ですし、だれにもわかることです。
私たち不動産業者の団体、京都府宅地建物取引業会、川島会長のじきじきの依頼で、京都市に対する新景観政策の不合理な部分の見直し要求をもとめる活動に参加しました。この活動はマスコミが大きく報道していますが、私たちの要求に対して、京都市がどういう答えを出すのか、各方面の注目が集まっている状況です。住宅をはじめ不動産市場に詳しい専門家が、国にも京都市にもいないということが指摘できます。私たちも、積極的に発言して、市場の実情について消費者や行政の理解を深めていきたいと考えます。
 
不動産コンサルタント  天野  博(業歴  36年)

2007年 秋の動き
2007年09月20日(木曜日)
不動産コンサルタント 天野 博

<<新景観条例実施>>

9月1日、都心を「旧市街地型景観地区」に指定するなど新たな景観施策が施行されました。とくに、「田の字」エリアにおける高さ規制15mは衝撃的で、新景観条例の内容にあらためて強い関心が集まっています。景観確保による「プレミアム現象」が一部で生じているものの、不適格マンションを大量にかかえた中古マンション市場の先行きは見通しにくくなりました。
私も参画している「不適格マンション管理組合懇談会」は当日、高田京都大学教授や大道公明党市議会議員を招き既存不適格マンション問題セミナーを開催しましたが、世論の注目を浴びて新聞各紙、NHK,テレビ朝日が報道しました。
「不適格マンション」問題を科学的に把握しなければ、不動産業界、金融機関も取扱に誤解がひろがる可能性が十分あります。築浅物件の売買における「既存不適格」の重要事項説明義務、築年を経た場合は建替えかどうかの不安解消等、問題は生じつつあります。そもそもマンションの寿命が相当長いことへの認識不足は、私たちはもとより関連業界にも少なくないのです。長期的な視点による解決への道筋提示が求められています。そのためにはマンション住民自身、行政そして専門家、関連業界の連携がかかせません。

<<基準地価格上昇>>

9月19日公表された基準地価格は東京都心部商業地の25%など、見出しやリードには上昇一色の観があります。しかし、記事をよく読めば一服感や調整、また値下がり事例などの紹介があります。日経、京都の各紙からの取材には協力しました。朝日新聞などにはこうした取材がないようで残念です。
バブルの崩壊を思い起こします。地価のピークは1989年末、株価とほぼ同じでした。1990年4月以降値下がりが始まり、不動産業界のなかには強気な見方があったものの、その秋には暴落といってよい全面的な値下がりとなって、地価の大勢は決したのでした。その過程、1990年3月、9月、1991年3月と公的価格は実勢を無視し上昇していると公表しつづけたのでした。大銀行の倒産は地価下落時期を見あやまった事が大きいと思います。バブル崩壊の傷は15年以上癒えなかったのです。
同じ事を繰り返すのでしょうか。不動産は個別性が強いので一概に言い切ることは出来ませんが、現在の市況は明解な値下がり局面で、本格的な在庫調整、価格調整が始まっています。「地価上昇」は世論をミスリードするものです。
新聞各紙、テレビに出たことから、「不動産コンサルタント天野博」で検索し当社のHPへ到達してくるお客様がおられます。「いつ買えばよいでしょうか」と聞かれることがありますが、不動産も他の商品と同じで、売れ残ったり、値下がりしたりする時代に入ったのです。相場が購入時期を決定するのではなく、不動産を必要とする理由の切迫度、欲しいと思う深さが決定するのではありませんか。幸い、住宅地やマンションは今回の「ミニバブル」の影響が少ないので、時期決定は主体的に行える状況です。




2006年 秋の動き
2006年09月15日(金曜日)
不動産コンサルタント 天野 博

<<都心エリア、調整局面>>
 販売が長期化した物件から値下げする事例が出てきました。これは都心エリアの地価上昇のテンポがあまりに早かったので、調整期に入ったことを示しています。在庫や価格の調整がどのようにすすむのか、調整局面が短期間で終るのかどうか、注目すべき市況です。

<<郊外エリア、上昇基調>>
 右京区、西京区の地価はこの2年でおよそ坪@10万〜20万上がっており、現在も上昇が続いています。中古住宅価格の先行指標である中古マンションの売り出し価格も、この2年でおよそ坪@10万ほど上昇してきました。山科区もこの1年、ゆったりしたテンポながら上昇傾向にあるようです。不動産市場はこのように複雑な様相となってきました。

2005年 秋の動き
2005年09月09日(金曜日)
不動産コンサルタント 天野 博

<<不動産市況、売り手市場続く>>
 ワンルームマンションから収益物件まで、売れ筋商品の品不足が続いており、地価住宅価格は堅調、上昇基調にあります。このため、この秋も売り手市場が続くものとみられています。

<<在庫空室の増加エリアに注意>>
 不動産業者が強気の仕入れを行っていることから、売れ残り物件も目立つようになってきました。一部エリアでは今後在庫調整、価格調整がすすめられることでしょう。また、収益力を左右する空室が一部エリアでは増加傾向にあることも見逃せません。こうしたエリアでは、念入りな分析・調査を行うべきでしょう。