2021.03.25
東山区では3割ものマイナス
2021年公示地価が3月23日、発表されました。京都新聞は「京都 商業地で急落」との見出しで一面トップ記事。リード記事はコロナ直撃で前年の8、1%上昇から1.8%下落となり、9.9%ものマイナスと不動産市場の深刻な様相を取材していています。祇園のある東山区は23.9%上昇から6.9%下落、つごう30.8%もの大幅なマイナス、ホテル需要などがけん引してきた地価上昇の暗転には驚かざるをえません。他のエリアもよく似た状況です。ただし地価下落はマンション供給には好条件でしょう。このところ、新築マンションの折り込みが目につくようになってきました。
下落の速報は異例
公示地価は多方面に影響を及ぼすことから、大きな価格変動については遅れがちになるものです。前回1990年からのバブル崩壊時、公示地価は1990年も1991年も上昇と公表、私は当時、違和感を強く感じました。そのあとの政策転換への決断を鈍らせてしまうことになりました。今回は前年の値下げをそのまま反映する異例のケースです。これはコロナショックの異常さを示すのかもしれません。
アベノミクスの破綻、デフレへの移行
今回の地価公示がしめすもう一つの意義はアベノミクスの破綻です。超金融緩和つまり金余りを吸収してきた不動産市場は一転、縮小過程を辿ろうとしています。これはデフレです。すでに物価上昇政策にことごとく失敗したあげく地価下落となっては、インフレ政策は雲散霧消というべきです。コロナによる需要減退はデフレ社会への移行をいっそう促します。
換物が進む 値下がりリスクの回避
デフレ社会では低金利、低成長が基調になりますが、貨幣価値が高まるとも言えます。ゼロ金利時代にあっては、年間5%から8%もの利回りを期待できる収益不動産が注目されるのは当然でしょう。家賃は上がりにくいが下がりにくいという特性があります。これからも国内に蓄積されてきた膨大な金融資産が収益不動産へ流れ込んできます。投資物件選好にあたっては、空き家リスクや値下がりリスクを回避することが欠かせません。不動産コンサルタントのアドバイスを受けてください。
さて、現在の市況ですが、京都都心の地価やマンション価格は値下がり局面を脱し、品薄感と投資需要に支えられて、弱含みながら横ばいという感想を抱いています。市況についてもお気軽にお問い合わせしてください。
2021年3月25日
不動産コンサルタント 天野博